医療法人社団晴栄会
白金ビューティフルエイジングクリニック

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ビューティフルステート

昨日、今日と丸2日間、久しぶりに経営セミナーに参加しました。

タイトルは「人間関係のマネジメント」

この2年間、経営についての学びを深めているお陰で、現在のクリニックメンバーは最強のチームになったと感じております。

それでも、もっともっと良くしたい・・・と願うのが経営者の性というものでしょうか

 

早速学びから一つご紹介しましょう。

心の状態は2種類しかないそうです。

①ビューティフルステート(美しい状態):自分と相手は同一、ひとつ意識

②サファリングステート(苦しみの状態):自分と相手は分離の関係、わたし意識

常に①の状態でいられるよう、人は座禅や瞑想を通して心身を整えることが大切です。心の筋トレと表現していました。

意識を意識して、①の状態でいるよう実行することが大切だと教わりました。

日頃の意識や発する言葉、呼吸や姿勢など身口意をよいものとし、心身の状態を整えることがどれだけ大切であるか。

ビューティフルステート(美しい状態)、いい言葉ですね。

当院の「ビューティフルエイジング」に似ていませんか?

あ、ただビューティフルが同じだけですね

私たちスタッフが常にビューティフルステートでいられるよう努め、お運びくださる患者様の肌をきれいにすることはもちろんのこと、心までビューティフルステートになっていただければ、この上ない喜びであります。それを叶えるクリニックでありたいと願います。

その他にもたくさんのことを学んだ充実の2日間でした。

日常の診療から離れ、意識の高い人と交流しながら学べる時間は、実に贅沢で豊かなものでした。

明日からの仕事に早速生かし、実践したいと思います。

 

4月中旬ごろまで、何となく気持ちの晴れない時を過ごしていました。やる気もなくエネルギーの低い日々でした。

食欲も低下し、この私ですらお酒を飲めない日が続いたくらいですから

先週から少し上向きになりました。桜が散って新緑の季節になると精神的に落ち着いてくるものだ、と精神科の先生がお話されていたことに納得できます。

3月には「美容外科手術を受けようか悩んでいる」と話していた方々も、4月になると「やっぱりやめます、受け入れます。」と撤回。すっかりなかったことに。春は精神が不安定になるので、そういうものだと理解して焦った行動は控えめにしておいたほうがよいのかもしれません。

美容外科手術は注入やレーザーと違ってリスクは増えますから、きちんと理解して、リスクの取れる人が慎重に受けるべきものだと思います。ボトックスは時間が経てば効果は切れますが、外科的な傷や瘢痕は不可逆的だということを覚えておいてください。

 

人は易きに流れる

「人は易きに流れるから、若い時の苦労は買ってでもしなさい。」と言われた昭和世代。

四当五落とか言っていましたね

いえいえ、昭和世代はシニアになった現在も猛烈に努力しています。

還暦を過ぎても、英語を猛特訓して海外へビジネス展開する人。

MBA留学を踏み台にして、ステージを上げる人。

大学院に入学し、やりたかった学びを深める人。

ゴルフでプロ顔負けの練習をして、自己ベストを更新し続ける人。

毎日1万歩を実行する人。

フルマラソンに出場する人。

 

そんな皆さまに共通して言えることは、とにかくこつこつ継続していることです。

それが当たり前に出来る人たち、やっぱりすごい。

そういう人たちだから、美容と健康に気を遣うのも当たり前。

当然肌もきれいになるわけ。

ウルトラリスペクト

 

無症状更年期を迎えている私は、どうも若い頃のような踏ん張りがきかなくなって、ブレーキ故障中。

易きに流れて、溺れそうです。助けて~。

ジャズダンスでは、あまりに脚が上がらない短足オバサン。必殺「開脚チェア」なるものを密かに購入し、毎晩開脚体操しているものの、効果は目に見えず。

友人にその話をしたら、「私は前後開脚できるようになるまで7年かかったわよ。」と言われてしまい、自分の甘さが恥ずかしく情けなく

こつこつ、ゆっくり。人生フルーツ。

 

美肌は1日にしてならず。

しかし、長期的に見ていただければ、美容医療の効果は絶大です。

美容皮膚科医として駆け出しの頃、知的なキャリアウーマンのお手入れをさせていただいた時に感じたことを今でも思い出します。

「私はこのような人たちがそれぞれのお仕事で存分に力を発揮できるよう、美容面で貢献したい。」と思いました。

美容の悩みで煩うことのないように。

素肌に自信が持てれば気分が良くなり、若々しさを保ちつつ、本業の「何か」に打ち込むことができるのではないでしょうか。

いや、素肌を整えておくことは、もはや仕事前の身支度のような行為とすら感じています。

 

易きに流されない女性たちに、夢と希望を感じながら通っていただけることを誇りに思います。

努力と継続の大切さをしみじみ感じた春でした。

 

時給328円

半日かけて父の遺品整理をしました。

私が子供の頃の入学式や卒業式、運動会、ピアノ発表会のプログラム、テニス大会のパンフレット、図工で描いた絵、父宛に書いた手紙など発見。

親思う心にまさる親心、、、

 

ついでに、まだ解約していなかった〇〇銀行へ、相続手続きに立ち寄りました。

すでにいくつかの銀行で手続きを済ませたのですが、まだ少額残っている口座がチラホラ。

銀行によって相続手続きが異なり、大手都市銀行は郵送でやりとり終了。

某信用金庫は窓口へ足を運ぶ必要がありました。

今日の銀行は、予約なしで立ち寄ったものの、当日対応OK

しかし通帳もキャッシュカードも紛失しており、残金いくらかも分からず

ただ、〇〇銀行に口座があったことは覚えていました。

店頭のテレビ電話窓口で画面越しに手続きをしたのですが、カメラとかプリンターなど指示通りに使いこなしながら、2時間近く滞在し、閉店時間を大幅に過ぎてしまいました。

それでも1日で手続きを完了することができたので、まあ仕方ないか、と開き直っていたものの・・・

最後に現金で支払われた残金が、な・な・なんと、656円

たった656円のために2時間も費やしたとは

私の時給は328円かい

 

いえいえ、人生お金、コスパだけではございません。

やるべきことをきちんと終わらせる爽快感もございます。

 

私が学生時代の頃から、「子供の教育にはお金を惜しまないが、財産は残さない」と宣言していた父。

本当に使い切って旅立ちました。

そして、教育によって生きる術を身につけさせていただいたことに感謝。

 

夕暮れ時、満開を過ぎた桜並木。愛犬と共に、花びら絨毯を楽しみながら、生きる喜びを噛みしめています。

 

 

 

心に遊びの余白を

先週の続き。

『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』 (著)三宅香帆 集英社新書

読み終えました

明治以降現在に至るまで、日本の時代背景と、日本人がどのように本と向き合ってきたのかという点から考察するなど、なかなかユニークな意見が述べられています。

簡単に(雑に)要約すると、現代人は忙しすぎて、読書はノイズになってしまうから敬遠される傾向にあるということ。本を読んでいると、自分の知らないことや予期せぬ内容に遭遇することがあります。私はこれが好きで、知らないことを知識として知り得る喜びがありますし、未知の世界を疑似体験することもできます。

それに対し、インターネットやHow to 本で得られる表面的な情報はノイズのない知識です。簡単なので人々に受け入れられやすく、仕事に役立つコミュニケーション術とか投資戦略方法とか、我々の利益に直結するように見せかけて、ただの薄っぺらい情報で、スマホに触れれば大量に入手できるような情報。このような情報を無料で聞き流しても、自分の血となり肉となるとは到底思えません。・・・と私が思い込んでいるから、ネット情報に触れることに大きな違和感を感じているのだと思います。

◎読書―ノイズ込みの知を得る

◎情報-ノイズ抜きの知を得る

なるほど。

仕事が忙しくて余裕がなくなると、本が読めなくなってしまうのは、ノイズを楽しむための遊びの余白が小さくなっているからなのでしょう。思考の大部分が仕事に占拠されていることに気づきます。

我々人間にとって社会はうるさく、情報過多で、ごちゃごちゃ人も多く、心の平静を保つことはますます難しくなっている現代社会。

だからこそ自分の身の回りだけはキレイにすっきりと整理しておきたいという気持ちになり、断捨離とかときめく片付け術などがヒットしたとか。

その気持ち、すごく分かります。

私は、多くの人で混雑した雑多な街に身を置くことがとてもストレスに感じるので、できるだけ新宿・渋谷には出ないようにしています。

私たちの提唱している肌ルネなども、化粧品というノイズを絶ち、少しでもシンプルに暮らしたいと願う人たちに響いているのだと思います。

 

これからの時代は、「いかにノイズを減らしていくか」ということがキーになってくると思います。

意識的に整理していかないと、情報の渦に巻き込まれて、人生がぐちゃぐちゃになりそうです。

仕事が忙し過ぎたり、自分の健康に自信がなくなったり、家族の問題対応に追われると、頭の中はノイズだらけになります。人間生きていればそのような苦しい時期もありますので、そのような時こそ心に遊びの余白を確保して、本が読める状態に戻すことを目指したいと思います。

2025.03.26

本を読みたい

確定申告を終え、娘は大学を卒業し、脳卒中後の母はリハビリ病院に転院しました。

転院先の病院にはすぐになじみ、穏やかに過ごしているのが不幸中の幸いです。

 

先週から私の気持ちもだいぶ軽くなり、読書に集中できるようになりました。

読書時間は私にとって至福であり、満足度の高いものなのに、忙し過ぎたり、気の病むことが多いと何故か読書に集中できません

読む気力がなくなって、ダラダラとYouTubeを流していると、時間泥棒はあっという間に私の魂まで堕落させます。

スマホは中毒性が高く、意識的に遠ざけないとついつい触ってしまうので、本当に怖い。

活字を読む行為は能動的なのに対し、YouTubeを見聞きするのは受動的です。

私の人生は受け身ではなく、主体的に動く方が心地よいと感じるので、読書が向いているのでしょうか。

車を運転する時や就寝前のベッドの中で、ラジオ替わりにYouTubeを聴くことがあるのですが、それも頭が悪くなっていく感じがしてなりません。

聴いている内容は、政治・経済の動向や、不動産情報(これは趣味)、若い頃聴いていた音楽などでしょうか。

お坊さんの説法も時々聴きます。

 

『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』~疲れてスマホばかり見てしまうあたなへ~ (著)三宅香帆 集英社新書

昨年買って読みかけていた本を、再び手に取りました。

昨夜読み切って、その内容をブログに書こうと思っていたのですが、力尽き果て寝てしまいましたので、次回に持ち越します。

 

医師国家試験

娘が医師国家試験に合格しました!

当の本人は呑気に旅行中ですので、代わりに私が発表を見ることに。

久しぶりにドキドキしました

合格率92.3%ですので、医学部に入学すれば、ほとんど出口が保証されているような試験ですが、それでもしみじみ嬉しいものです。

この6年間、途中コロナ禍を経験しながら、試験や病院実習などコツコツよく頑張りました 誇りに思います。

孫が医者になることを誰よりも楽しみにしていた我が父(娘の祖父)の位牌に報告。

あと半年生きていてくれたら間に合ったのに残念ですが、きっと天国で喜んでいることでしょう。

 

医師はこれからが勝負です。

まずは初期研修2年間。

どんなお医者さんになるのか、楽しみです。

 

2025.03.11

若い人への期待

学生生活最後の休暇を満喫しまくる娘の様子を見ていると、忙し過ぎて、見ている私が息苦しくなるほどです

友人らと卒業旅行を5回、その間にも高校時代のクラス会とか、昔の友人らと会ったり、春からの仕事の準備をしたり。

よくもまあ、こんな過密スケジュールをこなせるわ、と感心しながら、私は中高年のエネルギーを大切にしながらマイペースに過ごしております。

 

明治維新に活躍した幕末の志士たちは、皆20~30代でした。

高杉晋作28歳、吉田松陰29歳、坂本龍馬33歳没。

明治政府で活躍した伊藤博文も井上馨も西郷隆盛も大久保利通も、日本経済の父渋沢栄一も、みんな若かった!エネルギッシュで血気盛んだったに違いありません。

それに比べて今の政治家は・・・高齢で・・・還暦以上の人ばかり・・・

思い切った政策の実行なんかは、若い人のほうが大胆に行動してくれそうですよね。

しかしながら現代社会において、活きのいい若者は政治家にはならないのでしょう。

時代は違えど、人として大切にすべきことなど道徳・倫理は普遍的だと思うので、今こそ古典を学び直すべきなのではないでしょうか。

自己中心的な世界のリーダーを見ていると、悲しいかなお先真っ暗ですよね。

 

もし幕末の志士たちが生きていたら、令和の社会問題に対して、どのような政治をするのかしらと妄想してしまいます。

環境問題、少子高齢化、貿易摩擦、戦争、インフレなどなど問題山積みです。

タイムマシンがあったら、どんなに面白いことでしょうか。

私は迷わず江戸時代に行きます!

 

若い人のエネルギーとテクノロジーが存分に活かされ、数少ない現役世代のパワーが数多くの高齢者をフワッと包み込んでしまうような社会を夢見ています。

 

ピコレーザーの復習

日曜日に、ピコレーザーの勉強会が大宮で開催され、40分ほど講演いたしました。

勉強会用の症例写真の使用にご協力くださった方々へ、改めてお礼申し上げます。

2023年にピコレーザーを導入してから、治療前後に毎回写真撮影を行い、記録するよう心掛けておりましたので、沢山の良い症例が集まりました。

 

発表の準備をすることは、自分の診療の振り返りが出来て、勉強になります。

レーザーメーカーのメンテナンス技術者が驚くほど、この1年半でたくさん治療経験を積みました。

実際に治療してみて、私なりに感じたことをまとめてお話できました。

シミ取りのピコスポットはとにかく優秀

以前使用していたナノレーザーに比べると、さすがピコ様。

メラニン色素を破壊する瞬間のイメージですが、ナノレーザーの場合は、的の中心に生卵をぶつけて割れるような感覚。

それに対しピコレーザーの場合は、的の中心に弓矢を射るような感覚です。

生卵は割れて周りに散らばりますが、弓矢はプスッと中心に刺さり、周りに広がったりしません。

これがピコの衝撃波による破壊力なのです。

無駄なく標的を捉える感覚。

う~ん、伝わりますでしょうか、この表現。

そして、痛みもダウンタイムもピコの方が圧倒的に楽チン。

炎症後色素沈着の発生率もピコの方が少なくて19.8%でした。

最終的にどれだけキレイにシミを撃退できるかについては、ナノレーザーとピコレーザーの違いはまだはっきりとしていませんので、再発率も含めて今後経過観察していきたいと思います。

 

さて、今回の発表にあたり、私が美容外科医を目指した理由を振り返りました。

学生時代にアメリカの形成外科・美容外科実習に参加したことがきっかけで美容外科に魅了されたことは覚えているのですが、なぜその実習に参加することになったのか、どうしても思い出せないのです

MGH(マサチューセッツ・ジェネラル・ホスピタル)という病院が有名だったので、そこに行って一流に触れてみたいというミーハーな気持ちに突き動かされたことは覚えているのですが、なぜ形成外科・美容外科を選んだのでしょうか。

思い出せない、、、

知り合いに美容外科医がいたわけでもなく、私の母校には形成外科教室もありませんでした。

何故、美容外科を選んだのでしょうか、、、

みんなと同じことをするのが嫌で、いつも逆張りしていたから、みんなと被らなそうな美容外科を選んだのかなぁ。

先日参加した、経営者向けの勉強会で、起業後の生存率は5年後で65%、10年後で16.8%、15年後で2.1%だと知りました。

当院は19年目ですから、光栄にも2.1%に入っているようです。

続けられることに感謝。

ファンデーションに頼らない素肌づくりを求める人たちに、素肌で過ごせる快適さと開放感お届けいたします

 

 

 

2025.02.26

聞く力

タクシーはアプリの時代。

私も必ず利用しています

こればかりはITの恩恵を十二分に受けていると断言できます

現在地を入力して配車依頼をすれば、数分以内でお迎えに来てもらえる素晴らしさ。

路上で首を長くしてタクシーを待つイライラ解消です。

さて、いつものように配車を依頼したら、「プレミアム車」というものがお迎えに来ました。

黒塗り、6人乗りの立派なお車。

私が注文した訳ではなく、たまたま空いていたから回ってきたのでしょうか、料金は普通車と同じでした。

この「プレミアム車」を選択すると、料金は20~30%増しだとのこと。

プレミアム車を運転できるドライバーは、会社の中でも3%というエリート、狭き門。

選ばれしドライバーもプレミアム

落ち着いた物腰のダンディーな運転手さん。

運転手さんによると、プレミアム車を運転するようになってからは客層が格段と良くなり、ストレスが激減したそうです。

一般車両では柄の悪いお客さんに絡まれることもあったそうですが、プレミアム車を運転するようになってからは、ほとんど遭遇しなくなったとのこと。

私はいつも普通車を頼んでいたので、プレミアムの世界が気になり、あれこれ質問していると、

「お客さん、聞く力がすごいですね、プロみたいですよ!」と驚かれつつも、気持ちよくあれこれお話して下さいました。

しまいには、タクシー運転手という職業を選んだ経緯や人生の紆余曲折、家庭問題なども吐露しておりました。

「いや~、こんなに自分の話をお客さんに話したのは初めてですよ!」と照れくさそうでした。

聞く力という言葉に、阿川佐和子さん気取りになってしまいました

 

日常の診療では、患者さんのことを良く知ることがとても大切なことだと考えています。

患者さんはどんな人で、何を求めているのか。

どのようなお悩みを抱えてクリニックにいらしているのか。

悩み事が解決して、どのような状態になったら理想の未来に近づけるのか。

まずは現状を知るためのヒヤリングは欠かせません。

同時に、患者様のバックグラウンドを知ることで浮かび上がる景色が見えるので、ついついあれこれ沢山質問することが習慣化しています。

あまりお話ししたくなさそうな時は、察して引くようにしているのですが、しつこかったらごめんなさい

あ、もちろん守秘義務は守っておりますのでご安心下さい。

スタッフにも「他言無用」と厳しく指導しております。

 

診療における「問診力」が、タクシー内でも炸裂してしまったのでしょう。

見聞を広めるために、積極的に問いかけは大切なスキルです。

そして、楽しい会話は人生を豊かにしてくれます。

2025.02.20

母の病気

母が再び脳出血で入院した。

自宅で転倒して動けなくなり、救急車で搬送されたところ、1週間前に起こしていたと思われる脳出血が確認された。

かかりつけの病院へ受け入れてもらえることができたのが不幸中の幸いだ。

右脳出血により、左半身に軽い麻痺があり、上手く歩けなくなっていたようだ。

最近腰が曲がってしまい、足腰の痛みを訴えるようになっていたので、「上手く歩けず転んじゃうのよね。靴下が滑るみたい。」という切実な訴えも、腰が原因だと思い込んでいた。

休日に様子を見に行くと、ベッドの上で、変な姿勢で横になっていた。

手を取って介助して、何とかよちよちトイレに行けたものの、一人ではどうにもならないレベルだった。

それでも寝室からリビングまで連れ出し、ご飯を食べさせたら、案外普通に話していたので、脳出血とは考えられなかった。

私が帰ろうとした時、玄関でひっくり返った。頭をぶつけた。腰もぶつけた。

抱きかかえて起こそうとしたが、痛がって少しも動かせない。

終わった。と思った。

すぐに119番通報。

 

幸い骨折はしなかったものの、脳出血が見つかった。

転倒とは関係のない、1週間くらい前の脳出血だ。

脳の異変に気付けなかった娘に、「何しているの?早く何とかしてあげなさいよ。」という神の思し召しが、母を転倒させたのだと思った。

気付いてあげられなかった自分が歯がゆい。

 

緊急入院すると、人間は自分の病状や環境の変化から想像を絶するストレスを感じ、不安になる。

最初の夜は、不穏になって点滴を抜去するなど暴れたらしい。

食事も喉を通らなかったようだ。

「皆が私の家を狙っている」とか、「アフリカ人が家に泊まりに来たのよ。セネガル人かしら。」などせん妄症状を認めたので、まずはできるだけ不安を取り除いてあげようと、毎日病院に通った。

母の入院している病院は面会がゆるく、夜8時までOKというのが有難い。

しかも食事持ち込みOKの神対応。

母の大好きな“ひなあられ”や“りんご”を食べさせて、コーヒーを飲みながら、入院生活についての話に耳を傾けた。

変なことを言っても否定せず、ただ受け入れた。

そうしているうちに、だんだん表情が穏やかになり、いつもの母に戻っていった。

「この病院の人たちは良くやってくれるわ。」と、感謝の言葉に変わっていった。

 

足の麻痺があるので、歩けない。

しらばくリハビリが必要になるけれど、一人で歩いてトイレに行けるくらいまで回復して欲しい。

 

それにしても、なぜ私の両親は揃って脳卒中となり、後遺症に苦しめられることになるのだろうか。

脳が不自由になることは、健常者の我々には到底理解できないような苦しみがあるようだ。

不安、焦り、苛立ち。

6年間親の介護に直面してきたので、どのように対応すべきかということは頭では理解できる。

大切なことは、病気の人を不安にさせないこと。安心させること。

しかし、実の親の脳が壊れていく様子を目の当たりにすると、理想通りに優しくはなれない。

感情が許さないのだ。

保護者である私が、時に厳しくなったり、声を荒げてしまうこともある。

そのたびに落ち込む。

自分の頭の中に、こんがらがった針金の塊が植え込まれているような感覚だ。

こんな状態でも、日々の仕事はきちんとやらなければならない。

そして家族が安心して暮らせるようサポートしなければならない。

いや、それが出来ている自分の脳が正常なことに感謝である。

我々の能力は人それぞれだ。超ハイスペックな脳もあれば、ロースペックな脳もある。

脳血管疾患だけでなく、うつ状態など精神を病んでしまうと脳が働かなくなってしまうらしい。

DVなどのトラウマでもそうなるらしい。

依存症や借金まみれになる人たちは、脳の働きに問題が発生しているので、自助努力ではどうにもならないようだ。

だらしないとかやる気がないという自己責任論では片付けられない問題。

だから、頭脳に対して良し悪しをつけることが間違っており、能力の高い人は困っている人を助けるために使ってこそ意味があるのではないかと思う。

 

プライベートネタを炸裂させてしまったけれど、親の病気を通して、残酷な人間社会についてものすごく考えさせられたからどうしても記しておきたかった。

まだまだ私の修行は続きそうだ。

 

参考文献

『貧困と脳』(著)鈴木大介 幻冬舎新書

 

 

 

 

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