医療法人社団晴栄会
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総おひとり様社会

2020年の国勢調査では、単独世帯が一般世帯の38%を占めたとのこと。

東京都に限ると50%を超えている。

夫婦と子供2人という旧モデル世帯は1割を切る。

3世代同居は4.1%。

※日本経済新聞より

 

1人は気ままでいい。

私は50年間、いつも誰かと一緒に暮らしていたし、ずっと仕事をしていたから、1人でいられる時間などほとんどなかった。

子育てが終わり、1人で過ごす時間が断然増えた。

時々家族と過ごす時間は大切だし愛おしいと思うが、ひとり時間の快適さは捨てがたい。

長年1人暮らしを続けている人たちが、「他人と一緒に暮らすなんて無理」と口を揃えるのも理解できる。

適度な繋がりを感じながらも自由でいたいと思ってしまう。

まぁ、要するに、私はわがままな人間だと思う。

社会(社会って誰?)が個人主義を目指し、民意がそれを許容した。

個人の権利主張が強くなった。

これは欧米社会を模倣したからに他ならないが、表面的な制度だけを輸入し、魂が伴っていないからおかしなことになっている。

もともと日本人は控えめで謙虚で、空気を読み、周囲に合わせることが得意だし、善しとする文化だ。

個人の権利より、公の利益を優先してきた国だ。

この同調圧力は、コロナ禍で露になった出来事である。ある意味恐ろしかった。

私も若いころはアメリカ留学なんてしたものだから、そういう日本の堅苦しい習慣を毛嫌いしたものだ。

しかし、長く生きて、いろいろ経験し学んでいくうちに、日本の歴史、文化、精神性というものの成り立ちを知ると、張りぼてのような制度設計には無理があると思う。

日本人らしさという大和魂を無視しては上手くいかない。

 

80代の知人が現役で働いていた1980年代頃、彼女の会社では連休取得は4日間が限界だったという。

1週間も取れる雰囲気ではなかったし、皆もそんなものだと思っていたという。

4日間の短い海外旅行にたくさんのOLさん達が参加していたそうだ。2泊4日の旅??

私が研修医として働いていた90年代も、夏休みは1週間もなかったし、有休休暇という概念すらなかった。これは医師という属性だったからかもしれない。

真面目にコツコツ働くことが美徳であり、自分の出来ることが増えると純粋に嬉しかった。

休みもなく働くことがカッコ良かったから、睡眠時間を削って仕事した。

それでも夢と未来があったから苦にならなかった。

20年以上経った今、働き方は大きく変わった。

有休や育休取得を推奨し、残業を減らすことが良いとされる空気を感じる。

労働時間は1996年に1915時間、2021年は1651時間へ減少。

ところが日本国民1人あたりの労働生産性は1996年からほぼ横ばいとのこと。

米国は2.5倍、英国は2倍に増加しているのと比べると、停滞感を実感する。

労働時間は減ったけれど、仕事の成果も減ってしまったということ。

働き方改革は何か間違っているのだと思う。

真面目にコツコツ、人のためになる仕事をしている人が報われる社会であって欲しい。

 

 

さて、権利主張の激しい個人主義社会を模倣した日本。

核家族化が進み、とうとうひとり暮らしがスタンダードになった社会。

ひとり暮らしの高齢者をどうやって支えていくかが大きな課題である。

自由には責任と義務が伴うという原理原則を忘れてはならない。

人はひとりで生きていくことなどできず、家庭や学校、会社という社会の枠組みの中でたくさんの人たちの助けを借りている。

謙虚で驕らず、感謝の気持ちを忘れない。

そして「忠恕」の心で、志欲を持って生きていたい。

 

 

 

2023.07.28

エントロピーの法則

だいぶ前のことですが、先輩医師からの年賀状に、「世の中はエントロピー増大の法則により・・・」というコメントがありました。それ以来、「エントロピー増大」をずっと意識していたところ、興味深い本のタイトルが私の眼に飛び込みました。

 

早速アマゾンでポチり。

書籍の前半は、はるか昔に学んだ指数関数や運動エネルギーなどを、日常的に意識することのない出来事を論理的に説明しています。

そして熱力学第2法則、「世の中は常にエントロピーが増大する方向に進む」ということがメインテーマ。

おお、これぞ自然科学の真骨頂!

簡単に説明しますと、温かいコーヒーを室温に置いておくと必ず冷めるとか、部屋はどんどん散らかっていくとか、ゴミは増える一方とか、喫緊課題である地球温暖化とか。

エントロピー増大の法則は、原子や分子の世界から宇宙に至るまで、神羅万象の中で成立する法則だそうです。

インターネットの普及により、我々は情報の津波に飲み込まれていくのも、自然の摂理だということです。

私のクリニック経営で考えてみますと、スタッフの意識(価値観)がバラバラだとエントロピーは増大してしまい破滅の方向に向かってしまうということになります。これは、組織の問題ですね。意識を同じ方向に統一することで、物事はスムーズに運ぶだろうと考えられます。

即ち、エントロピーを低下させるということです。

しかし、低下させるためにはエネルギーが必要です。

放っておけばエントロピーは増大するのですから、皆好き勝手なことをして、統制が取れなくなることは明らかです。

エントロピーを低下させるには、我々の良識やルールは必須。

太古の昔から、我々の祖先も社会や暮らしを守るために、宗教や哲学というものを生み出してエントロピーを低下させていたのですね。旧約聖書の「ノアの方舟」や、お釈迦様の悟りなどがまさにエントロピーを低下させることの良い例でしょう。

自然科学と精神哲学を融合させた、素晴らしい本でした。何度も何度も読み返しています。

 

美容医療もエントロピー増大中

大切なお顔や身体が破滅に向かわないよう、エントロピー低下を意識した健全な美容医療の普及に努めたいと思います。

 

 

2023.06.13

森の国、ニッポン

最近のニュースで、私の心は曇天、梅雨入りです

ウクライナ、ヘルソン州のダム破壊による水害は、本当に気が滅入りました

ただでさえ気候変動問題により自然災害が増えているというのに、人為的な破壊行為は愚か過ぎます。

山火事によるニューヨークの大気汚染映像もゾッとしました。

身近なところでは、2020年オリンピック開催(実際は2021年)をきっかけに、東京都が建築の高さ制限を緩和したことで進んでしまった、神宮外苑の再開発問題。樹木を伐採し、高層ビルを建てるようです。

 

日本書紀にも書かれていますが、日本は木の国、森の国です。

「スサノオは髭を抜いて放つとその髭がスギになり、胸毛を抜いて放つとヒノキになり、尻毛はマキに、眉毛はクスノキになった。」とあります。体中の毛を抜いて、大地を緑豊かにしたスサノオは木の神だったのですね。

スサノオは荒ぶる神で、高天原で数々の悪行を重ねたと言われますが、それは森林伐採して農耕を推し進めたアマテラスへの抵抗だったと考えられます。

日本神話、奥深いです。ちゃんと読み直さなければ!日本が何を大切にしてきたかという教育がスッポリ抜け落ちています。我々の向かうべき方向をクリアにするためにも、このような話を子供たちに聞かせないと、グローバル化の波に飲み込まれてしまい、日本の良さが失われることに激しい危機感を感じています。

積極的に植林して、木を育て、木材を多種多様な用途に利用する「木の文化」を大切にしてきた日本。

里山風景に触れると何となくホッとするのも、日本が樹木を大切にしてきた証だと思います。

 

地球が壊れていく・・・

核の脅威で相手国を脅す世の中がまかり通るなんて、道徳的に許されないことです。

被爆国である日本が、どんなに悲惨なことであったかという事実を世界へ訴えても、核廃絶になりません。

戦争反対を訴えたところで、攻め込まれたら終わりです。

さて、私たちはどうするべきでしょうか?

両手を挙げて降参しますか。←死にたくない!

日本を捨てて、どこか海外へ逃げますか。←私には日本以外に“暮らしたい”国は思い当たりません。

きれいごとでは済まされない現実が待ち構えていることは確かです。

 

日本人としての良さを自覚しながら、世界の中でどのように振舞うべきでしょうか。

森の国、日本。

心の梅雨明けを目標に、頑張りましょうか。

 

 

 

 

2023.03.21

ギルティーフード

当院の隣に『バーガーマニア』というハンバーガー屋さんがあります。

なかなか肉肉しいハンバーガーで、大人気です。

2008年オープン、白金店以外にも恵比寿店、広尾店、そしてこの3月に白金高輪店もオープン。

この3月で15周年を迎えたとのこと、おめでとうございます!!

今月限定「15種のチーズ入りバーガー」をいただきました。

デザートには偶然ですがチーズケーキ。

胃袋はチーズフェスティバル

ビールとワインで流し込んで終了。

50代でギルティーフード(高カロリーで罪を感じる食べ物)やっちゃいました・・・

明け方から胃がしくしく痛くて、消化機能に負担がかかり過ぎた様子。

消化酵素が少ないのか、蠕動運動が弱いのか、特に牛肉はしんどいです。

牛のゲップにはメタンが含まれ、温室効果ガスの4%に匹敵するとか。

牛肉を食べることは、人体にも地球にも負荷がかかり過ぎることを考えると、環境に対する”ギルティーフード”でもあります。

でも、バーガーマニアさんのハンバーガーは本当に美味しいし、食べる人を幸せにしています。

大量生産して大量廃棄することもなく、上質なお肉をたまに少しだけ頂くのならいいではないかと、勝手に正当化させていただきます。

日本の1人当たり年間消費量(令和元年・農林水産省)は以下の通りです。

・牛肉 6.5kg

・豚肉 12.8kg

・鶏肉 13.9kg

牛肉は豚や鶏と比べると意外と少ないのですね。

また世界と比較してみると、アメリカやブラジルは牛肉だけで30㎏以上消費していますから、世界はナント肉食か!ということが分かります。

これだけ世界では肉が消費されているのですから、代替肉の研究に躍起になっているのも理解できました。

肉食は持続不可能ですから、これからの食糧事情が気になります。

胃腸を労わりつつ、少しの量でいいから美味しいものが食べられる世の中になることを祈ります。

 

2023.03.08

ニュートック

アラスカにある先住民族の村、「ニュートック」をご存知ですか?

地図上でお示しします。

この辺りにユピック族という狩漁採集をしながら移動生活をしていた先住民族がいました。

1950年代にアメリカ合衆国政府が定住生活を強制し、学校を作り、このニュートックという場所に住まわせたということです。

ところが地球温暖化の影響でニュートックの土地は浸食され、永久凍土が溶け出し、そこに住み続けることが困難になりました。

住民は何とか政府から補助金を確保し、より安定した地へ移転することになりましたが、それでも人口の3分の1程度に過ぎません。村はバラバラになってしまいました。

このニュートックのドキュメンタリー映画を観て、脱炭素社会の実現に向けて何が必要なのか?というフォーラムに参加しました。

 

これは、気候変動難民の1例に過ぎません。

このまま温暖化が進むと、2060年には14億人が住む場所を失い、難民化するという試算があるそうです。

もう、待ったなしの臨界点に来ています。

本気でCO2削減に取り組まないと、後戻りできないそうですよ

日本は世界と比べると、まだまだ火力発電が多く、再生エネルギーの割合が少ないそうです。

化石燃料の輸入額は年間18兆円だそうです。

これを減らして、何らか国産の再生可能エネルギーを増やせば、何兆円という額が国内で潤うんですけれど。

最近は再生エネルギーも低コストになっているようで、太陽光を推進していました。しかし田舎に行くと、辺り一面に広がる太陽光パネル畑は自然と調和しておらず、あのパネルが劣化して廃棄される時のゴミ問題は大丈夫なのかしらと心配になります。

また、電気自動車も推進していましたが、電池に使うレアメタルの問題なんかはどうなんだろう?と疑問を感じます。

原発は稼働すると、結構なCO2を排出するらしく、おススメしていませんでした。というよりも、12年前の東日本大震災で原発の恐怖をみんな味わったはずなのに、いまだに原発??ですよねぇ。

世界人口は今もなお増え続けているし、物質的には豊かになり過ぎているから、欲望のままに生きていたら、そりゃエネルギー使用量は半端ないんでしょうね。

食料・生産消費システムは、CO2排出量の1/4を占めますが、牛肉がダントツに悪いみたいですよ。そのうち牛肉禁止令(禁牛)なんてものが出来たりして。牛肉の他には、羊肉、チーズ、ひき肉、チョコレート、コーヒーなどがCO2排出量が多いそうです。

個人レベルでの省エネは焼石に水です。社会システムを根本的に変えていかないと、CO2ゼロの社会を目指すことは出来ないのでしょう。

 

環境問題だけでなく、社会は様々な問題と矛盾を抱えています。

それが直接自分に関わることでないと、他人事のようにスルーしてしまう傾向があります。

自分の事で精一杯だったら、環境問題なんて二の次になっちゃいますよ。

しかし、この無関心こそが罪深いということを忘れずに。

私はいろいろな社会問題を意識して考えたいと思っています。

そのためにも自分の能力の5%でもいいから、余白を持てるよう心がけています。

そんな意識が、人生を豊かにしているように思います。

 

 

 

 

 

2022.10.18

ニッポンの医療

いつかこんな日が来るだろうと想像していましたが、父が倒れました

脳梗塞でした。

かかりつけの病院に救急搬送され、緊急カテーテル手術を受け、命は助かりました。

担当医師は分かりやすく丁寧に説明して下さるし、

看護師の方々は皆優しく真心こめて対応して下さいました。

感謝しかありません

 

今回の件で、日本の医療へのアクセスがどれだけ優れているかということを実感しましたので、記憶が鮮明なうちに記しておきたいと思います。

命には“運”があるとも感じました。

父は日頃から、かかりつけ病院と家族の連絡先を書いたメモをパスケースに入れて持ち歩いていたので(長生きしたかったらしく、このあたりの用心深さは感心)、救急隊がすぐに連絡を取ってくれたのだと思います。

たまたま外出先のレストランで倒れたので、お店の人がすぐに救急車を呼んで到着。かかりつけ病院のすぐ近くだったこともあり、発症から1~2時間以内で緊急手術を受けることができました。

家で1人だったらもうお陀仏でしたし、コロナ禍で医療崩壊が起きていたら、受け入れ拒否で三途の川を渡っていたかもしれません。

病院が他の患者の治療中だったら、これまた受け入れ不可。他の病院へたらい回しとなり、時間経過とともに脳梗塞の後遺症はひどくなるばかりです。

いくつかの奇跡が重なったからとは言え、救急車対応、病院対応は一流国だと思いました。

国民皆保険制度がなければ受けられない高度医療だと思います。

どこかの国のように、お金がない人は切り捨てられてしまう国となってもいいのでしょうか?

私は今回の父の件で、日本という国に大いなる感謝の気持ちを抱いています。

 

このような医療が当然のように受けられるニッポン

優れた人材や制度のおかげで、私たちは安心して暮らすことができるのです。

あ、言っておきますが、私が医師だからと言って知り合いがいる病院ではありませんので、コネなど全くございません。父が自分自身で長年通うかかりつけ病院だというだけです。

お医者さんが切磋琢磨して医療技術を磨かなければ、高度な医療は受けられません。

そして医師、看護師や技師さんなど医療現場で働くスタッフが不足しないよう、また疲弊しないよう人材確保しないと成り立ちません。

夏のコロナ第8波の時は、医療スタッフが不足して病棟閉鎖をしていた時期もあったと聞きました。

どんなにお金を出しても、人がいなければ医療は成り立ちません。

これからは医療が必要となる高齢者が増える一方、働き手は減少の一途をたどります。

将来、質の良い医療を国民が受けられるのか心配です

これからの日本を担う若者が立派に育つよう、やはり子育てと教育支援に力を入れないと、痛い目に合うのは我々大人自身だということをしみじみ考えさせられます。

老後2000万円とかお金の心配ばかりしている場合ではございません

教育に、人材に投資しないと

医療が当たり前に受けられることの有難さを痛感させられました。

安心安全の日本でいられるために、若者の未来を応援したいと思います。

2022.10.11

これからの成長を考える

戦後、日本は目覚ましい経済成長を遂げました。

1950年は世界のGDPが5.3兆ドルに対して日本の占める割合は3%でした。

1994年に日本のシェアがピークとなり、17.9%。

その後失われた30年の間にどんどん縮小し、2021年にはなんと5%まで低下してしまいました(世界GDPは96.3兆ドル!)

ちなみに2000年頃は日本と米国と英国のGDP合計が世界の約半分を占めていたのが、20年後の今では約1/3に減少したそうです。相対的にアジア勢力の力が強まったということです。

国の豊かさはお金だけで測るものではないと思いますが、「GDPは創出付加価値の総和であり、汗をかき経済活動をする総体を捉える概念」と寺島実郎氏は述べており、それに関しては私も納得しています。

終戦後、焼け野原で何もかも失った日本人が、豊かさを求めて必死に頑張ったのですぅぅぅ

人は何かやり遂げたいという情熱と、頑張れば良い未来が待っているという期待が持てるからこそアクセルを踏んで前に進めます

しかしながら、社会全体がある程度物質的に豊かになったことで、休みもなくモーレツに働く会社員の馬車馬人生に疑問を感じる人が増えたのではないでしょうか。

子供のころからある程度満たされた状態で育っていれば、そんなにガツガツしなくたっていいでしょ、と考えるのも自然の流れなのでしょう。

そして世の中がどんどん便利になっているから、人間易きに流れてしまいます。

ゆとり教育だの働き方改革だの叫ばれていますが、それは単に安易な方向に流されているだけのような気がしてなりません。

「まあそこそこテキトーに生きましょうよ。美味しいもの食べて、楽しいことができればそれで満足。辛い仕事なんてやる気ないし。政治経済は誰か頭のいい人たちがやってくれるでしょ。」これが日本人マジョリティーの民意だとしたら、私はとても悲しい

 

そういう私自身も、何だか最近テキトーに生きているなぁと感じることが増えました。

子育てが終わって暇になったからかなぁ。

嫌なことはやりたくないし。

眠たければ寝たいし。

診療は好きだけれど、そんなにガツガツやらんでもええんちゃう?(←エセ関西弁)

・・・なんて思うと、ありゃ?これぞ現代日本人を蝕む精神そのものではありませんか??

 

美容医療で何とか成功したい気持ちが強かった若かりし頃は、あれこれ必死にチャレンジしていました。自分で言うのもなんですが、まあいろんなことに手を出して、ときどき火傷しながらも何とか生き延びてきたもんです。成功の定義も難しいのですが、単純にたくさんの患者さんに来院してもらって、予約一杯になり、治療結果に満足してもらって、売上も上がっていくというようなことをイメージしていたのだと思います。

40代後半になると、開業という枠組みの中では、自分が出来る範囲のことはやった、ある程度結果も出せた、と思えるようになりました。すると今までのように右肩上がりの成長だけ望むことに違和感を覚え始めたのです。追い求めているものが違うとでもいいましょうか。でも、何を求めているのか自分でもよく分からないのです。

あれ?これって、私自身が今の日本社会の縮図そのものではありませんか

ある程度目標達成した後のユートピアが描き出せずにいるのです。

自分の人生を振り返っても、若い頃は成長を続けて、40代後半から停滞・・・という流れは、日本社会と非常によく似ています。これを放っておいて易きに流れ続けていたら、衰退の一途を辿ることは間違いないと思うのです。

 

先日、いつもお世話になっている白金の美味しいケーキ屋さんのケーキを食べながら、「もしケーキ屋さんたちが努力しなくなって、ケーキがどんどん不味くなってしまったら、私はとても悲しい そんなの嫌だ。」と思いました。美味しいケーキを作り続けるには、人々の不断の努力が必須です。日本人が努力することを放棄するということは、一流のモノやサービスを諦めることになりませんか?私はそんなの絶対に嫌だと思いました。

時刻表通りに出発する電車、清潔な公共設備、夜道でも女性一人で歩ける安心な街、落とし物が届けられる社会。

日本には世界と比較しても良いところがたくさんあります。それを失っても構わないと思っている人がたくさんいるのでしょうか。

戦後77年、この国は、世界は大きく変わりました。

今までの資本主義社会は限界に来ています。

GDPだけ追いかけるのは何か変。

新しく目指すべき社会の姿ってどんなものなんでしょうか。

脱成長?倫理資本主義?

世界中の哲学者や経済学者など有識者が議論を繰り返していますが、そんなに単純なものではなさそうです。

私自身が初老になり、これからの当院の目指すべき姿を考えることが、日本の在り方を考えることと重なることに気付きました。

まだ結論は出ませんが、若い人が夢を持って活躍できる社会(クリニック)にすることではなかろうか?という大雑把なイメージを持っています。

GDPが全てとは思いませんが、それに代わる基準が示せない以上、やはりGDPを捨てる勇気はなく、「誠意をもって価値ある仕事をしましょうよ」と言うのを今夜の結論にして終わりたいと思います。

2022.10.05

少子化問題

最近、個人的に社会問題に対する関心が超HOT、マイブームです。

YouTubeで政治に関する討論などを視聴したり、オンラインの勉強会などに参加してみたり、読書したり。

具体的には教育問題、選挙制度の問題、経済問題、少子高齢化問題、環境問題など多岐に渡ります。

私のような小市民一人が何か社会を変えられるわけではありませんが、いろいろな知識人の話を聞いて、自分なりに思考する時間が幸せであり、充実感に満たされます。

 

少子化問題について考えてみます。

世界共通して言えることは、文明化が進むと一人の女性が生涯で産む子供の数は減るということ。

日本では2021年に産まれた子供の数は84.2万人、合計特殊出生率は1.3。

2022年生まれの子供の数は80万人を切ると予想されています。先細りは必須。

もっと気になるのは、20代男性で交際経験のない人は約40%、20代女性では25%いるそうです。

ボーっとしていたら恋も出来ない時代になったのでしょうか。

それとも恋愛以外にも楽しいことがたくさんある複雑な世の中ということなのでしょうか。

もっともっと気になったのは、国勢調査によると、男性の生涯未婚率は正規雇用が17%に対し、非正規雇用は51%だということ。(女性はそれぞれ22%と8%)

男性は正社員でないと結婚しにくいということです。

それはいまだに男性が経済的に自立して家庭を支えていくという価値観が強いからです。

妻がバリバリ稼いで、非正規の専業主夫が家事と育児を主に担うというケースは確かに少ないです。

私の身近に知っている範囲でも片手で数えられる程度でしょうか。

男女間の伝統的分業が根深い日本社会独特のバイアスがあると思います。

いずれにしても、子供を産める若い世代の女性は減少する一方なので、一人の女性が5人くらい子供を産まないと少子化問題は止められるはずがありません。残念ながら、それはあり得ないでしょう。

そうなると人口ピラミッドがひっくり返った構造でも、社会が機能するようなデザインを考えないといけないことになります。

現役世代が高齢者を支えるという現状のシステムは続かないでしょう。

そうなると高齢者を諦めることになるでしょうか。

それとも驚くべき技術革新により、効率的な介護ビジネスが発展して、長生きさせられるようになるのでしょうか。

もしくは、死ぬまで働かないと生きていけないような時代

 

私が期待したいのは、驚くほど優秀な頭脳を持った若者の能力が十二分に発揮できるような社会にすること。

日本社会は出る杭をすぐに打ち付けてへし折ってしまいますが、内輪もめしている場合ではありません。

日本の存続がかかっています。

烏合の衆が1000人揃っても歯が立たない天才たちに、ドカンと富を生み出してもらう。

そして我々小市民はその恩恵を受けながらも、自分たちのやりたいことができる社会。

 

介護が必要になったら、年齢・バックグラウンド・職務経歴・資産・要介護度などをマッチングアプリに入力して、老人ホームを自動的に決められるような時代が来るのでしょうか。ケアマネージャーの仕事が要らなくなりますし、施設で働く人もAIロボットです。

今日は少子化について考えてみましたが、向こう10年くらいで我々の生活はガラリと変化する局面にいると思います。

そういうことを考えるのは未知との遭遇、ワクワクします。

人生100年時代。

還暦のお祝いに、「シミ取りチケット1万円分」を配布できる自治体があったら楽しいのになぁ。

そんな税収ありゃせんわっと怒られそうです

高齢者の肌を清潔にする美容医療という切り口で、まだまだ私の仕事もお役に立てそうです。

 

2022.09.07

女性リーダー

英国の首相に、リズ・トラス氏が選ばれました。

47歳の女性リーダーです。私より若い

海外では若い女性リーダーが珍しくないですよね。

 

先日、テレビで“尾崎えり子さん”というとても元気な女性が紹介されていました。

38歳。小学生の子供2人と夫と4人家族。会社経営。

家族で岡山の田舎に移住し、基本テレワーク。会社のオフィスは千葉にあります。

本業の傍ら、奈良県生駒市の副業公務員を兼務し、月に何日間か家族と離れ出張。

教育関係のコンサルティングのようなお仕事をしていました。

へ~。すごく今どきな働き方ですね。

家族の在り方も、働き方も柔軟で、生き生きと働く尾崎さんは魅力的でした。

尾崎さんは、2人の子育てと通勤の両立がネックとなり、勤めていた会社を辞めたそうです。

家の近くで仕事探しをしたけれど、ことごとく断られて、仕方なく起業したとか。

子育て中の母親が家の近くで働けるサテライトオフィスを作ったようです。

 

子育てと仕事を両立させるには、好きなことで起業したらいいんじゃないか?と私はずっと前から思っていました。

会社員の場合、どうしても時間的制約があり、自由が限られてストレスが溜まります。

自分で仕事のペースをコントロールできるっていうのは、生活の質を高めるためにも重要な要素だと思うのです。

でも、お勤めしていた人が急に起業するのはさすがにハードル高めですから、起業するっていう選択肢もあるのよ、というキャリア教育が必要なのでしょうね。

前述の尾崎さんのような女性が、どんどんメディアに出れば、働く女性にとって勇気づけられるし、1つのロールモデルになると思います。

 

人数合わせ的な管理職とか議員数で女性を増やすのではなく、社会や人の役に立ちたいという発想から女性のリーダーが増えれば、戦争のない平和な世の中になるのではないかと期待しています。

 

2022.08.03

国家理念

ペロシ米下院議長が台湾を訪問するニュースが気になる。

今後の米中関係はどうなるのだろうか。

世界がますます不協和音を奏でている。

 

人間の寿命が延びたため、人生100年なんて言葉をよく見聞きするようになった。

長生きするようになったから、なるべく長く働き続けましょうといった世論が鬱陶しい。

リカレント教育とか言って、中年以降もヒトは一生学び続けよう!と、自治体や学校はいろいろなプログラムを用意している。

何を学ぶかって言うと、仕事に生かせるスキルや知識らしい。

「一生働け」

「子育てしながら働け」

労働力不足を埋めるために、何とか多くの人に働いていて欲しいという為政者の狙いが丸見えだから、ますます鬱陶しい。

少子高齢化による労働力不足が深刻化する中、高齢者でも女性でも移民でも、労働力になるものはフル活用しないとどうにもならないというのは理解できる。

 

自分にとって必要な学びは能動的に学ぶし、必要なスキルは自分で身につけるようにするものだ。

人から言われてやるものではない。

ましてや、いい年した大人にまで「学べ」と言い、お膳立てまでする社会っていうのも何か違う気がする。

中高年になってくると、20代~30代の時のような気力・体力が失われるので、がむしゃらに頑張れなくなる。

国策として学べる人材を育成したいのであれば、若い時に血を吐くほど努力しろ!と言い続けた方が効果的なのではないかと思う(←今はパワハラとかモラハラとかで言えないのだろうが)

若い頃にぐーたらする習慣がついてしまうと、年を取ってから勉強するのは困難だろう。

何も皆が同じことをしろということではなく、個人個人が熱中できることでよい。

自分の得意なこと、夢中になれることに、とことんのり込めることを見つけ、子供たちが全力でそれに取り組めるよう社会全体が支えていくという仕組みは作れないものだろうか。

適正を見極めることが肝心だと思うが、これは子供自身でできることではないから、やはり親や先生の導きが欠かせない。

受験勉強一辺倒になり、親の経済格差で将来が決まってしまうのでは夢がない。

「何をやりたいか?」主体性を持って取り組めるような人間に成長できる教育が必要なのだ。

 

子育てのノウハウ本みたいなのがたくさん出ているが、家庭環境も子供の性格もそれぞれ違うのだから、正解なんてない。

子供が小さい時は、私もいろいろ悩んだこともあったし、自分の子育てが成功だと言えるかどうかは分からない。

「整理整頓」と「約束を守ること」に関しては口うるさく言ったつもりだが、大学生になっても不十分なままなので、これらに関しては失敗なのだろうか。そのうち気づいてくれるといいのだが。

やりたいことを見つけ、自走できるようになったことは成功だと思う。

親がとやかく言わなくても、自分でやりたいことを見つけてやっている。

「自主自立」は私の人生のモットーである。

 

小学校や中学受験で青色吐息の親御さんに接することがある。

大切なことは、どのように育って欲しいかという教育理念を、親がきちんと持っているか?である。

今の日本に足りないのは、この国をどんな国にしたいか?という国家理念だと思う。

経済成長という言葉は、もう国民に響かないのではないだろうか。

夢が描けなければ、進むべき方向が見つからない。

それで対処療法に追われているだけのような気がする。

 

自立した人間が増え、

多様性を認め、

寛容な社会になること。

これが私の考える国家理念である。

 

 

 

 

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