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肉食と気候危機①

肉食と気候危機①

肌と環境因子

肌と肉食

今年はヨーロッパに大変な熱波が到来しました。
7月14日にポルトガルで47℃、同月19日にイギリスの各地でも40℃を超える観測史上最高気温を記録し、イギリスでは初めて異常高温警報が発令されました。
WHOは7月22日、この熱波でスペインとポルトガルだけで1,700人以上が死亡したと明らかにしました。

先日、肉やチーズなどを多食すると顔や頭皮の皮脂が増えるというお話をしましたが、昨今のこのような気候危機においても肉や乳製品を食べることについて考えなおす必要があると言われています。

では、肉食においてどのような環境負荷がかかるのでしょうか。

家畜業の温室効果ガス排出量

私たちが牛肉を1キログラム食べるごとに、車で100キロメートル走行したときと同量の温室効果ガスが排出されると言われています。
他にも羊肉やチーズ、豚肉なども環境負荷が高く、羊肉は牛肉の約5倍。これら家畜業が排出する温室効果ガスは、世界全体の排出量の18%ほどになります。これは、車や船、飛行機などの輸送機関が排出する温室効果ガスの量を上回っています。

環境負荷がかかる原因

食肉による環境負荷は主に以下のようなことが原因と言われています。

家畜の飼料

牛や羊などは本来草食動物ですが、食肉用に飼育される動物は、栄養価の高い、トウモロコシや大豆などの穀物が与えられています。
これは、早く脂肪を蓄えた肉や乳をつくり、早く出荷させるためと言われています。
世界中の穀物のおよそ50%以上がこれらの家畜のために供給されています。

穀物の栽培には水も肥料も大量に必要です。
穀物1トンを生産するのに必要な水は1000トン、牛肉1キロを得るために必要な水は2000リットルです。世界の利用可能な水の70%が灌漑用水として農地で使用されています。
食用の野菜を栽培するときよりも動物の餌としての穀物には、農薬などの規制が緩く、早く大量の穀物を安定的に育てるためにも化学肥料や農薬が多量に使用されます。また、トラクターの問題は以前も書きましたが、大規模農園でトラクターが使用されることでも温室効果ガスが排出され、さらに土壌の劣化に繋がります。

家畜動物の排泄物

本来私たち人間を含む動物の排泄物は、土壌に生息する微生物などにより分解され、草や植物が育つための栄養素となります。微生物が排出物を消化して生まれる物質を人間が摂取しているのです。
しかし、食肉動物の飼育場では、狭い敷地内に大量の動物を飼育しているため、自然に分解し、循環することが不可能なほど大量の排泄物が出ます。そのため人工的に微生物などを投入して分解させますが、排泄物が分解されるときに発生するガスにより大気が汚染され、さらに排泄物とともに流れる病原菌や有害物質により、土壌や河川が汚染されるという被害が報告されています。

家畜のゲップやおなら

牛や羊などは反芻家畜と呼ばれ、胃袋が4つあり、消化の過程でメタンガスを発生させます。これはゲップやおならとして大気中に放出されます。メタンガスは大気の温度上昇について、二酸化炭素の20倍も強力でインパクトが大きいと言われています。国連のデータでは、世界のメタンガス排出全体の37%が動物の体内で発生するガスに由来するそうです。

熱帯雨林の伐採

森林を形成している樹木は、成長の過程で空気中の二酸化炭素を取り込んでいます。しかし、森林火災や伐採によって、蓄えられていた二酸化炭素が大気中に放出されているのです。
熱帯雨林の地域に住む人々の多くは、発展途上国です。先進国の人が食べるための家畜業は、お金になるため、違法を知りながら、森林を伐採し、家畜を放牧します。地球に残された原生地は2020年の時点で35%です。その中で適切に保護されている地域は17%に過ぎないと言われています。

次回に続きます。