美容医療の課題
「日本の医療の未来を考える会」という勉強会に参加しました。
テーマは“美容医療の課題”
美容医療は自費診療であり、医師の裁量権というものがあるため、診療内容に規制がありません。
管理監督するシステムがないため、野放し状態のようです。
多くの医師は、自己研鑽に励み、患者さんに利益をもたらすような治療を心掛けていると思います。
しかしながら、いつの時代も悪徳医師はいるようで、、、
儲けるために信じられないような医療行為をして、トラブルを起こしていると聞きました。
そのトラブルを治療するために受ける医療は、保険ではなく自費になるとのこと。
医師の意見としては、以下のような発言がありました。
「キレイになるために受けた治療でトラブルが発生したら、それは自費で治して下さいよ、という行政の判断はいかがなものだろうか。故意にトラブルを発生させているわけではないのだから。」
「美容医療そのものが、何となく後ろめたいものであり、患者さんはコソコソ受けるようなイメージを持たれているようだが、もっと明るいイメージにならないのだろうか?」
「そもそも美しさを求めるのは女性の正当な欲求であることを、男性は理解するべきではないか。」
確かにおっしゃる通りです。
美容医療行為は大なり小なり、人体に傷をつけることになります。
加えたダメージを上回る効果が得られると判断した場合のみ、治療をするべきだと思います。
しかしながら医療に100%はないのが現実。
マイナスの結果になることだってあるのです。
このあたりの判断は、医師の経験と技術とセンスなんだと思います。
私が日頃から心掛けていることは、結果100%を目指さず80%に留めておくこと。
美容医療は、やり過ぎると必ずマイナスの結果になります。
しかし「ほどほど」という匙加減が結構難しい。
もう少し・・・と欲が出ると、ついついやり過ぎてしまいます。
最近、美容医療のやり過ぎで肌を傷めている人を診ることが増えているような気がしています。
以前は化粧品の使い過ぎで肌を傷めている人が多かったのですが、今は美容医療を受ける人が増えたということでしょうね。
何でこんなになるまでやっちゃったの??と憤りを感じることもしばしば。
皮膚をちゃんと診察していないのかしらと思ってしまいます。
化粧品によるオーバートリートメント(塗りすぎ・擦り込みすぎ)は、皮膚のバリア機能を破壊します。
トレチノインやピーリング剤は気を付けて使用しないと、キメのないツルツル肌(ビニール肌と言う人もいます)になってしまいます。
余計な化粧品をやめてもらい、適切なレーザー治療を行うと肌質は改善することが多いのですが、時々「何でこんなに回復しないんだろう?」と思う症例にも出会います。根掘り葉掘り詳しくヒアリングすると、化粧品が大好きでいろいろな商品を塗りまくっていた過去があったりします。相当肌がダメージを受けていたのだと推測します。
1人ひとりの皮膚の厚み、キメ、オイリーなのか乾燥なのか、敏感肌か、年齢、傷の治るスピードなど考慮しながらスキンケアと治療方法を考えます。
皮膚の美容は奥深く、魅力的な世界です。
美容医療の課題は「やり過ぎない」ではないでしょうか。
過ぎたるは猶及ばざるが如し、ですね。