目の老化
診療中、突然流れ星のような光の筋が左下方に現れました。
1分間に何度も光が流れます。
「え?何、この光は」
冷静に観察してみると、どうやら片目だけのようでした。
同時に飛蚊症も悪化、ミジンコみたいな物体が眼前に浮遊しています。
私は何年も前から定期的に閃輝暗点(せんきあんてん)を経験していますが、それとはまた別の種類の光です。
閃輝暗点は両目に現れる現象で、ギザギザした月のような形をしており、時間と共に横に移動して30~40分程度で消えてしまいます。最初に経験した時は脳の病気かと思い、MRIなど精密検査を受けましたが特に異常なし。私のような中高年オバサンの閃輝暗点は、脳の血管が収縮することが原因だと脳外科の医師から説明を受けました。毎年1~2回発作がありますが、経過が分かっているのでじっと待つだけで終わります。
ところが今回の光は1時間、2時間、3時間・・・経っても消えないではありませんか
「こ、こ、これは、網膜剥離では」
網膜剥離の手術を受けると、何週間仕事を休まなければならないのだろう?
その間、クリニックはどうなってしまうのかしら、困るぅぅぅ。。。
恐怖を感じながらも、それでも視力には影響ありませんので、まずは診療に集中、集中。
このような時でも、診療だと思うと集中できてしまうのが本当に不思議です。
仕事を終えてから、知り合いの眼科医の診察を受けました。
視力は両目で1.2見えており、老眼もなく、メガネをかけていないことに驚かれました
眼圧も異常なし。
散瞳(点眼で黒目部分を大きくします)して眼底検査を受けましたが、恐れていた網膜剥離や眼底出血はありませんでした
神様、ありがとうございます。
結論、老化現象でした
眼球内にある“硝子体”という球状の物質はもともとゼリー状なのですが、加齢にともない液状化して体積が小さくなります。
お肌と一緒で、コラーゲンが減少して萎むようなイメージでしょう。
硝子体を包むように網膜が付着しているのですが、萎んだ硝子体に網膜が引っ張られる時にピカピカした光が見えるということです。
眼球もハリが失われ、シワ・たるみが、、、
恐るべし目の老化現象。
視覚異常は本当に怖い。
私は見た目の加齢変化を扱う医療を行っていますが、見えないところでも確実に人体は衰えているのですね
網膜剥離ではないことが確認できたことで、帰りの足取りは軽く、晩酌のビールがひときわ美味しく感じられた春の出来事でした